事業計画書の書き方|銀行員・投資家が「金を出したくなる」構成と3つの急所

経営戦略
公開2026年1月4日
更新2026年1月4日
事業計画書の書き方|銀行員・投資家が「金を出したくなる」構成と3つの急所

事業計画書とは、単なるアイデアシートではなく、読み手(銀行・投資家)に「投資する価値がある」と確信させるための戦略文書です。

  • 「一生懸命書いたのに、銀行融資が通らない」
  • 「何を書けばいいのかわからず、パソコンの前で筆が止まる」
  • 「テンプレートを埋めただけでは、本当にこれでいいのか不安だ」

このような悩みを持つ起業家や経営者は少なくありません。

実は、世の中に出回る事業計画書の9割は、審査員から見れば「絵に描いた餅」であり、評価されない運命にあります。

なぜなら、多くの計画書は「書き手の夢」ばかりが語られ、読み手が最も知りたい「リスクへの備え」や「数字の根拠」が欠落しているからです。

本記事では、中小企業診断士として数多くの融資・補助金申請を支援してきた筆者が、審査員が見ている「3つの急所」と、目的別に使い分けるべき「言語」を徹底解説します。

この記事の執筆者

佐々木 瞭
中小企業診断士/conets代表

  • 補助金採択総額:19億5,500万円
  • 採択率90%以上
  • リスキリング補助金:概算払い1.5億円着金をワンオペ対応
  • ものづくり・IT導入・新事業進出など多数支援

事業計画書とは?「絵に描いた餅」で終わらせないための本質

事業計画書とは?「絵に描いた餅」で終わらせないための本質

事業計画書の本質は、夢を語ることではありません。その夢を実現するための「具体的な道筋」と、予期せぬ事態に対する「リスク対策」を論理的に示すことにあります。

多くの計画書が失敗するのは、希望的観測(こうなったらいいな)ばかりで、「最悪のシナリオ」への備えが欠けているからです。

読み手(ステークホルダー)を納得させるには、客観的な根拠(ファクト)と数字の裏付けが不可欠です。

目的は「頭の中の整理」ではなく「他者の説得」

事業計画書には、大きく分けて2つの役割があります。

  • 自分自身の頭の中を整理し、事業の解像度を上げること。
  • 銀行や投資家といった第三者を説得し、資金や協力を引き出すこと。

特に後者の場合、自分だけがわかるメモ書きでは通用しません。

初対面の審査員が読んでも、「なるほど、このビジネスモデルなら利益が出るな」「この経営者ならやり遂げそうだ」と確信できるレベルまで、論理を磨き上げる必要があります。

9割の計画書が評価されない理由

審査員は、毎日何通もの計画書を見ています。その中で「ダメな計画書」には共通点があります。

  • 市場分析が甘い:「市場規模が1兆円あるから、1%取れば100億円」という安易な皮算用。
  • 定性と定量の不整合:「Web集客に注力する」と書いているのに、予算計画の広告宣伝費がゼロになっている。
  • リスク対策がない:「競合が現れたらどうするか」「売上が計画の半分だったらどうするか」という視点が欠けている。

これらの「チグハグさ」が見えた瞬間、審査員は読むのをやめます。

信頼を失う最大の原因は、アイデアの良し悪しではなく、計画の詰めが甘いことにあるのです。

【目的別】読み手に合わせて「言語」を変える

【目的別】読み手に合わせて「言語」を変える

事業計画書は「誰に見せるか」によって、使うべき言語と強調すべきポイントが180度異なります。同じ計画書を使い回すのは厳禁です。

銀行・公庫向け:「返済財源と保全」の言語

銀行員が見ているのは「夢」ではありません。「金利を含めて確実に返せるか」です。

彼らに響くのは、爆発的な成長よりも、堅実なキャッシュフローと、万が一の時の保全(担保や保証)です。

「赤字を出さない」「約束通り返済する」という、マイナスを埋める論理で語る必要があります。

VC・投資家向け:「JカーブとExit戦略」の言語

ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家は、リスクを取ってでも大きなリターン(IPOやM&A)を狙っています。

彼らに「堅実に返します」と言っても響きません。「市場のポテンシャルがいかに大きいか」「どうやって競合を出し抜き、指数関数的な成長(Jカーブ)を描くか」という、プラスを最大化する論理で熱く語る必要があります。

補助金申請向け:「加点項目への適合」の言語

補助金の審査員は、公募要領という「ルールブック」に従って採点を行います。

ここでの事業計画書は、パズルゲームのようなものです。「革新性」「地域経済への波及効果」といった審査項目に対し、一つずつ「適合しています」とアピールする記述が求められます。

独自性よりも、ルール遵守が最優先です。

事業計画書の基本構成と「6W2H」フレームワーク

事業計画書の基本構成と「6W2H」フレームワーク

抜け漏れのない計画書を作るための最強のツールが「6W2H」です。

いきなり文章を書き始めるのではなく、まずは以下の要素を埋めて、ビジネスの骨格を作りましょう。

【6W2Hキャンバス】

  • Who(誰が):実施体制、代表者の経歴
  • Whom(誰に):ターゲット顧客
  • What(何を):商品・サービスの内容
  • How(どのように):提供方法、販売チャネル
  • Where(どこで):出店場所、商圏
  • When(いつ):スケジュール、開業時期
  • How much(いくらで):価格設定
  • How many(どのくらい):売上目標、数量

これをベースに、サマリー、事業内容、市場分析、戦略、数値計画という標準的な章立てに落とし込みます。

サマリー:最初の1分で勝負が決まる

審査員は忙しいです。分厚い計画書を最初から最後まで丁寧に読んでくれるとは限りません。

冒頭にA41枚程度で、計画全体の要点をまとめた「エグゼクティブサマリー」を配置しましょう。

ここで「面白そう」「いけそう」と思わせなければ、続きは読まれません。最も力を入れるべきパートです。

事業内容とビジネスモデル(What/How)

「誰の、どんな課題を解決し、どこでマネタイズするのか」を説明します。

専門用語を避け、図解(ビジネスモデル図)を多用して、誰が読んでも直感的に理解できるようにします。

「安くて良いもの」といった抽象的な表現ではなく、「独自の仕入れルートにより原価率を10%抑える」といった具体的な強みを提示します。

市場分析と競合優位性(Where/Why)

「競合はいません」は、勉強不足の証明です。どんなビジネスにも必ず競合(代替品含む)は存在します。

競合を認めた上で、自社が選ばれる理由(差別化ポイント)を明確にします。SWOT分析などを用いて、自社の強みと市場の機会を掛け合わせた戦略を語りましょう。

審査員の目の色が変わる「数値計画」の作り方

審査員の目の色が変わる「数値計画」の作り方

定性的な戦略(文章)と定量的な計画(数字)の整合性は、審査員が最も厳しくチェックするポイントです。

「売上、利益、資金繰り」の3つが連動し、矛盾がない状態を作ることが重要です。

定性と定量の「チグハグ」をなくす

よくある失敗が、戦略と予算の不一致です。

「営業マンを増員して売上を倍にする」という戦略があるなら、人件費や採用コストが予算に計上されていなければなりません。行動なき数字は画餅(絵に描いた餅)です。

売上計画:希望的観測を排した「積上げ式」

「市場の1%を取ればこれだけ売れる」というトップダウン方式の予測は、説得力がありません。

「営業マン1人が1日5件回り、成約率10%で、月間〇件」といった、現場の行動量に基づいた「ボトムアップ(積上げ)方式」で算出します。泥臭い数字こそが、リアリティを生みます。

資金繰り計画:黒字倒産を防ぐ命綱

利益が出ていても、現金が尽きれば会社は潰れます(黒字倒産)。

売掛金の回収サイトや、買掛金の支払サイトを考慮し、現金の残高推移を可視化した「資金繰り表」を作成します。

銀行員は、P/L(損益計算書)以上に、この資金繰り表を注視しています。

事業計画書作成の5ステップ(手順)

事業計画書作成の5ステップ(手順)

効率的に事業計画書を作成する手順は以下の通りです。いきなりパソコンに向かうのではなく、準備が8割です。

Step1:アイデアの棚卸しとコンセプト設計

6W2Hを使って、頭の中にある構想をすべて書き出します。付箋を使ってブレインストーミングを行い、事業の核となるコンセプトを固めます。

Step2:市場調査と競合分析

統計データ(jSTAT MAPなど)や競合サイトを調査し、客観的な事実(ファクト)を集めます。

「なんとなく売れそう」ではなく、「データが示す通り、ここに需要がある」と言えるまで調べ尽くします。

Step3:骨子(目次)の作成とストーリー構築

全体の流れに矛盾がないかを確認しながら、各章で何を伝えるかを箇条書きで整理します。

起承転結のあるストーリーになっているか、読み手がスムーズに理解できる構成かをチェックします。

Step4:ドラフト作成と数値の整合性チェック

文章を肉付けし、戦略と数値計画の間に矛盾がないかを確認します。

ここで初めてパソコンを使い、清書していきます。

Step5:第三者チェックとブラッシュアップ

専門家(認定支援機関など)や、信頼できる知人に読んでもらいます。

自分では気づかない論理の飛躍や、わかりにくい表現を指摘してもらい、修正を重ねます。

セルフチェックリスト:提出前の最終確認

セルフチェックリスト:提出前の最終確認

書き上げた計画書を提出する前に、審査員の視点でセルフチェックを行いましょう。これらをクリアしていれば、採択率は格段に上がります。

[ ] ターゲットの解像度は高いか

「20代女性」では不十分です。「都内在住の20代独身OLで、週末にジムに通い、健康意識が高いが自炊は面倒だと感じている人」レベルまで具体化されていますか?

[ ] 売上の根拠は「積上げ式」か

鉛筆舐めの数字になっていませんか? 行動量や単価、回転率に基づいたロジックで計算されていますか?

[ ] リスク情報(最悪のシナリオ)はあるか

都合の良いことばかり書いていませんか? 「もし計画通りいかなかった場合どうするか」という撤退ラインや、代替案(プランB)が書かれていますか?

よくある質問(FAQ)

事業計画書に関するよくある質問をまとめました。

Qテンプレートはどこで入手できますか?
A

日本政策金融公庫や中小機構のサイトから無料でダウンロードできます。目的に合ったものを選びましょう。

Qページ数はどのくらいが適切ですか?
A

融資ならA4で5〜10枚、補助金なら10〜15枚程度が一般的です。長ければ良いというものではなく、相手が読みやすい分量を意識します。社内用ならA4 1枚にまとめるのも有効です。

Q専門家に依頼するメリットは?
A

客観的な視点でブラッシュアップしてもらえるほか、融資や補助金の採択率が高まる可能性があります。特に認定支援機関(中小企業診断士など)の印鑑があると、信用力が増すケースもあります。

まとめ

本記事では、事業計画書の書き方について、プロの視点から解説しました。

  • 本質:夢を語るのではなく、実現可能性とリスク対策を示すこと。
  • 言語:相手(銀行、投資家、補助金)に合わせて書き分けること。
  • 急所:整合性、客観性、具体性の3つを徹底すること。

事業計画書は、一度書いたら終わりの書類ではありません。事業の成長に合わせて常に書き換え、羅針盤として使い続けるものです。

まずは「6W2H」のメモ書きからで構いません。あなたの頭の中にある素晴らしいアイデアを、誰にでも伝わる「計画」へと落とし込んでみてください。

無料相談のご案内

  • 「自分の書いた事業計画書を添削してほしい」
  • 「融資に通るためのロジック構築を手伝ってほしい」
  • 「補助金申請のための計画書作成を依頼したい」

conetsでは、中小企業診断士による無料相談(オンライン/60分)を行っています。

貴社の事業計画書をプロの視点で診断し、改善点や採択率アップのアドバイスをその場で提供します。

【無料相談で得られる価値】

  • 事業計画書の「弱点」と「改善案」の指摘
  • 銀行員が納得するロジックの構築支援
  • 最適な資金調達方法(融資・補助金)の提案

まずは状況を確認できる無料相談をご用意しています。

お気軽にご活用ください。

無料相談を申し込む>>

pick upピックアップ記事一覧

More Informationconetsについてさらに詳しく知る

CONTACT

無料相談のご予約

経営・集客・データ活用のお悩みを、
専門コンサルタントが丁寧にヒアリングし、
「今すぐ取り組むべき一手」を明確にします。
まずはお気軽にご相談ください。

  • 打ち手が散らかっている
  • 集客が安定しない
  • 広告が結果につながらない
  • CRMやデータ管理が複雑
  • 仕組み化が進まない

ご相談は24時間、
オンラインで受け付けています。

LINE相談・オンライン予約・フォームから
お問い合わせください。