テクニカルSEOとは?検索エンジンの仕組みから学ぶ構造化データ・速度改善の基礎

WEBマーケティング
公開2025年12月9日
更新2025年12月9日
テクニカルSEOとは?検索エンジンの仕組みから学ぶ構造化データ・速度改善の基礎

テクニカルSEOとは、検索エンジンがWebサイトを正しくクロール・インデックス・評価できるようにするための「土台作り」のことです。

  • 「高品質な記事を書いているのに、なかなか検索順位が上がらない」
  • 「ページの表示速度が遅く、ユーザーの離脱が多い気がする」
  • 「Search Consoleのエラーや、構造化データという言葉の意味がわからない」

このような悩みを持つWeb担当者やマーケターは少なくありません。

本記事では、テクニカルSEOの全体像から、Core Web Vitals(LCP/INP/CLS)の基礎理論、構造化データの役割、インデックス制御の重要性までを体系的に解説します。

コンテンツの質を最大限に活かすための「技術的な基盤」を整えましょう。

テクニカルSEO(技術SEO)とは?定義と重要性

テクニカルSEO(技術SEO)とは?定義と重要性

テクニカルSEOとは、検索エンジンのクローラーがWebサイトを正しく巡回・理解・評価できるようにするための技術的な最適化施策です。

Google検索セントラルでも、コンテンツの質と並んで「クロールとインデックスのしやすさ」が重要視されています。

どんなに素晴らしい記事を書いても、土台となる技術要件が満たされていなければ、検索エンジンはその価値を正しく評価できません。

検索エンジンの3つのプロセス(クロール・インデックス・ランキング)

検索エンジンは、以下の3つのステップでWebページを処理しています。

テクニカルSEOは、このすべての工程に関与します。

  1. クロール(発見): クローラー(ロボット)がWeb上のリンクを辿り、ページを見つける。
  2. インデックス(登録): 見つけたページの内容を解析し、データベースに登録する。
  3. ランキング(順位付け): 検索クエリに対して、最も関連性が高く高品質なページを順位付けして表示する。

テクニカルSEOの役割は、クローラーをスムーズに招き入れ(クロール)、内容を正しく伝え(インデックス)、マイナス評価を防ぐ(ランキング)ことです。

コンテンツSEOとの違いと優先順位

コンテンツSEOが「中身(記事の質)」を高める施策であるのに対し、テクニカルSEOは「器(サイトの性能)」を高める施策です。
これらは車の「エンジン」と「車体」の関係に似ています。高性能なエンジン(良質なコンテンツ)を積んでいても、車体(技術基盤)がボロボロでは速く走れません。

両輪で進めることが重要ですが、まずは致命的な技術エラー(インデックスされない等)を解消することが最優先です。

Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とページエクスペリエンス

Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とページエクスペリエンス

Core Web Vitalsは、Googleが定めるユーザー体験(UX)の重要指標であり、LCP(読み込み速度)、INP(応答性)、CLS(視覚的安定性)の3つで構成されます。

2024年3月にFIDが廃止され、より実態に近いINPへと移行しました。web.devによれば、これらの指標が良好なサイトはユーザーの離脱率が24%低下すると報告されており、ランキング要因の一つとしても組み込まれています。

LCP(Largest Contentful Paint):読み込み速度の指標

LCPは、ページ内の「メインコンテンツ(最も大きな画像やテキストブロック)」が表示されるまでの時間を指します。
ユーザーが「ページが表示された」と実感するタイミングに近く、2.5秒以内であれば「良好」と評価されます。

画像の最適化やサーバー応答時間の短縮が主な改善策です。

INP(Interaction to Next Paint):応答性の指標

INPは、ユーザーがクリックやタップをしてから、ブラウザが反応して次の描画を開始するまでの時間を指します。
以前のFID(First Input Delay)に代わる新しい指標で、ページ滞在中のすべてのインタラクションを評価対象とします。200ミリ秒以下であれば「良好」とされます。重いJavaScript処理の削減などが改善の鍵です。

CLS(Cumulative Layout Shift):視覚的安定性の指標

CLSは、ページ読み込み中に発生する「レイアウトのズレ」を数値化したものです。
「記事を読んでいる最中に広告が遅れて表示され、本文がガクッと下にズレた」といった不快な体験を評価します。スコアが0.1以下であれば「良好」です。画像サイズ(width/height)をあらかじめ指定することで防げます。

構造化データ(Schema.org)による意味付けとメリット

構造化データ(Schema.org)による意味付けとメリット

構造化データとは、検索エンジンに対し、テキストの意味(「これはイベント開催日です」「これは商品価格です」など)を明示的に伝えるためのマークアップ手法です。

Schema.orgの語彙を用い、JSON-LD形式で記述するのが一般的です。

実装することで検索結果にリッチリザルトが表示され、クリック率(CTR)が向上する可能性があります。

検索エンジンへの「意味」の伝達

検索エンジンのロボットは、文字列を認識できても、その「文脈」や「意味」を人間のように理解することは苦手です。

例えば「2025-01-01」という文字列があった場合、それが「記事の公開日」なのか「イベントの開催日」なのか「商品の発売日」なのかを判断するのは困難です。

構造化データで <script type="application/ld+json"> 内に意味を記述することで、ロボットに正しく情報を伝えることができます。

リッチリザルトによるクリック率(CTR)の向上

構造化データを正しく実装すると、検索結果に通常のタイトルと説明文以外に、FAQ、求人情報、商品価格、レビューの星などが表示されることがあります。

これを「リッチリザルト」と呼びます。

Googleのケーススタディによると、FAQリッチリザルトを実装したサイトでは、CTR(クリック率)が平均して数%〜数十%向上したという報告もあります。

視覚的に目立つことで、競合サイトとの差別化につながります。

クロールとインデックスの制御(robots.txt / canonical)

クロールとインデックスの制御(robots.txt / canonical)

サイト内の重要なページを確実に評価させるためには、不要なページへのクロールを拒否し、重複コンテンツを正規化する必要があります。

robots.txtでクローラーのアクセスを制御し、canonicalタグで評価すべきURLを一本化します。

これにより「クロールバジェット(クローラーのリソース)」を最適化し、SEO評価の分散を防ぎます。

robots.txtとXMLサイトマップの役割

  • robots.txt: クローラーに対して「ここには入らないでください(Disallow)」と指示するファイルです。管理画面やテスト環境など、検索に出したくない場所を指定します。
  • XMLサイトマップ(sitemap.xml): クローラーに対して「ここに重要なページがあります」と通知する地図のようなファイルです。新記事の公開や更新を素早く伝える役割があります。

canonicalタグによるURLの正規化

Webサイトでは、システム上、中身が同じでもURLが異なるページ(重複コンテンツ)が生成されることがあります。
(例:https://example.com/itemhttps://example.com/item?color=red

これらを放置すると、検索エンジンの評価が分散してしまい、順位が上がりにくくなります。<link rel="canonical" href="..."> タグを使って「正規のURLはこちらです」と明示することで、評価を一本化(正規化)します。

モバイルフレンドリーとHTTPS化

モバイルフレンドリーとHTTPS化

Googleはモバイルファーストインデックス(MFI)を採用しており、スマートフォンでの閲覧に最適化されていることがSEOの必須条件です。

また、HTTPS(SSL化)による通信の暗号化もランキングシグナルに含まれています。

これらは加点要素というより、満たしていないと減点対象になる「足切りライン」と言えます。

モバイルファーストインデックス(MFI)への対応

現在、GoogleはPC版ではなく「スマホ版」のページ内容を基準に評価を行っています(MFI)。

そのため、スマホで見たときに文字が小さすぎないか、タップ要素が近すぎないか、PC版と同じコンテンツが表示されているかが重要です。レスポンシブデザインでの構築が基本となります。

常時SSL(HTTPS)とセキュリティ

http:// ではなく https:// で始まるURLにすること(SSL化)は、ユーザーの通信を守るための基本マナーです。
GoogleはHTTPSをランキングシグナルに使用しており、未対応のサイトはChromeブラウザで「保護されていない通信」という警告が表示され、ユーザーに不安を与えて離脱を招きます。

技術SEOの基礎診断チェックリスト

技術SEOの基礎診断チェックリスト

自社サイトの技術的な健全性を確認するための簡易チェックリストです。

Google Search Consoleのカバレッジエラー確認、PageSpeed Insightsでの速度計測、モバイルフレンドリーテストの実施などが含まれます。

定期的に診断を行い、エラーを早期に発見・修正することが順位維持につながります。

インデックス状況の確認(カバレッジ)

Google Search Consoleの「ページ(旧カバレッジ)」レポートを確認します。
「未登録」や「エラー(5xxなど)」になっているページがないかをチェックします。

特に、公開したはずの記事が「検出 - インデックス未登録」のまま放置されていないかを確認しましょう。

ページ速度とCWVの計測

Googleが提供する「PageSpeed Insights」を使い、自社サイトのURLを入力して計測します。
LCP、INP、CLSの各スコアが「合格(緑色)」になっているかを確認します。もし「不合格(赤色)」の場合は、提示される改善案(画像の圧縮、JSの遅延読み込みなど)をエンジニアと相談して実施します。

よくある質問(FAQ)

技術SEOに関するよくある質問として、効果が出るまでの期間、エンジニアがいなくてもできるか、WordPressでの対策などが挙げられます。

技術的な修正はインデックス反映後に効果が出るため、数週間〜数ヶ月かかるのが一般的です。

プラグインで対応できる範囲もありますが、根本解決には専門知識が必要です。

QテクニカルSEOの効果はいつ頃出ますか?
A

修正内容がクローラーに再発見され、インデックスが更新され、アルゴリズムによって再評価されるまでには時間がかかります。
早ければ数日ですが、通常は数週間から数ヶ月かかると見ておくべきです。Search Consoleで「修正を検証」ボタンを押すことで、再クロールをリクエストできます。

Qエンジニアがいないと対策できませんか?
A

WordPressなどのCMSを使っている場合、プラグイン(例:XML Sitemaps、画像圧縮プラグインなど)を入れることで、ある程度の対策は可能です。
ただし、Core Web Vitalsの高度な改善や、複雑な構造化データの実装、サーバー設定の変更などは、専門的な知識を持つエンジニアやコンサルタントの協力が必要になる場合が多いです。

まとめ

本記事では、技術SEOの基礎理論について解説しました。

  • 技術SEOの役割: 検索エンジンがサイトを正しく評価するための土台作り。
  • Core Web Vitals: 速度(LCP)、応答性(INP)、安定性(CLS)の3指標が重要。
  • 構造化データ: 検索エンジンに意味を伝え、リッチリザルトでCTRを高める。
  • インデックス制御: canonicalやrobots.txtで評価の分散を防ぐ。

コンテンツの質を高めることはもちろん重要ですが、それを支える技術的な基盤が整っていなければ、努力が報われない可能性があります。

まずはSearch ConsoleやPageSpeed Insightsを使って、自社サイトの健康状態を診断することから始めてみてください。

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テクニカルSEOは専門性が高く、サイトの構造や使用している技術スタックによって最適な施策が異なります。
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